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イベントレポート

お茶会

吉村桂充

桜舞の宴~上方舞に触れ、日本文化の粋に親しむ~

開催日

2010年3月7日(日)

場所

2階「茶室」

薄茶席:裏千家 須藤 宗晃
煎茶席:習軒流 服部 淡祐
点心席:2階「りんどう」
上方舞:「りんどうの間

「桜と舞」を題材として、那須高原ならではの旬の山菜や春野菜を中心に、塩竈港直送の新鮮素材を仕上げた懐石弁当をご用意いたします。
早春の味わいをお愉しみいただきました。

懐石弁当
吉村桂充
二胡演奏» 音量にご注意ください

吉村桂充(よしむらけいいん)

吉村輝章(現六世家元)、故五世家元吉村雄輝夫の両師に師事。
地唄、義太夫などのさまざまな邦楽や、能楽(謡、仕舞、能囃子、狂言小舞)など、他の伝統芸能も広く学ぶ。
現在「吉村桂充上方舞研究所」主宰。また「上方舞友の会」代表として、舞台、後進の育成、普及活動にも力をそそぐ。
平成十四年度文化庁派遣在外研修員
平成十八年度文化庁芸術祭新人賞受賞

上方舞

上方舞は、京の御殿舞を発祥とした、能や狂言の系譜に連なる、典雅で品格の高い舞です。男性のみが築きあげた能とは異なり、上方舞は女性が中心となって作り上げました。
使われる音楽も、能では、地謡と囃子(打楽器と笛)ですが、上方舞では、地唄という三味線音楽が使われます。そのため、地唄舞ともいわれています。
まったりとしたおおらかな間合いを持ち、味わい深い余韻の中で、音と音との間、その玄妙な静寂を舞うのが、上方舞です。

歌詞は和歌の伝統を汲む、花鳥風月と四季の移ろいに彩られています。かほり高く美しい言霊の響きから、失われつつある日本の美しい自然、やさしい心根が浮かびあがります。
その繊細な陰影に富んだ情趣を舞う上方舞は、日本文化の粋と申せましょう。

一分の隙もなく、研ぎ澄まされた佇まいの持つ緊張感と、無心の姿に宿る時空を越えた充実感。低く腰を落とした構え(立ち姿)から生じる存在感。
小さく仕切られた座敷という空間で醸し出される密やかな風情に満ちた、立ち居振舞いの規範ともなるべき細やかな折り目正しさ。
手足の先や身のこなしに通う、春風を誘うが如き抒情性。これらを併せ持つのが、四季の穏やかなうつろいにたゆとう日本人独特の繊細な感性が生み出した上方舞なのです。

地唄 「鐘が岬」

若く美しい僧をみそめた娘が、その恋の執心から蛇となり、鐘の中に逃げ隠れたその男を遂には焼き殺すという、紀州道成寺に伝わる「安珍清姫の悲恋伝説」の後日譚として有名な、「道成寺もの」のひとつで、能や歌舞伎、浄瑠璃の演目として、今日まで数多く演じられ続けています。

地唄「鐘が岬」は、「道成寺」の物語を具体的に表現するのではなく、その中身につかず離れず、「道成寺」の女心が香り立つように舞います。
鐘に恨みをこめて、つれない男への思いを舞いますが、後半はふっと、その鐘への執心からはずれ、各地の廓づくしとなり、廓で揺れうごく女心や恋心を綴っていきます。
女の持つ執念の恐ろしさの中に、その一途な可愛いらしさ、おろかさ、哀れさ、艶やかさ、といった情感が豊かに盛りこまれ、最期は鐘への執心に戻り、終わります。 静かな曲の多い地唄の中では華やかな名曲で、多くの方々に親しまれているものです。